間違った敬語の代表格「二重敬語」
あらゆるメディアで出回り、もう馴染んでしまっている感は否めません。
「二重に敬ってるんだからいいじゃん!」という事になるのも時間の問題かも知れません。
でもまだ文法としては間違いとされています。
あえて間違った敬語を使い自分の評価を下げるよりは、正しい敬語を使う方がメリットが大きいです。
では二重敬語について解説していきます。
二重敬語の意味
「二重敬語」とその適否
一つの語について、同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例
えば 「お読みになられる」は「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で、更
に尊敬語の「……れる」を加えたもので、二重敬語である。
「二重敬語」は、一般に適切ではないとされている。ただし、語によっては、習慣
として定着しているものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
・ 尊敬語) お召し上がりになる、お見えになる
・ 謙譲語Ⅰ)お伺いする、お伺いいたす、お伺い申し上げる出典:敬語の指針
つまり、同じ種類の敬語を二重に使ったものが「二重敬語」。
じゃあ敬語って何?
敬語=尊敬語・謙譲語・丁寧語
です。
後ほど解説しますが、丁寧語に二重敬語はありませんので、尊敬語と謙譲語において、誤った使い方をすると二重敬語になります。
ではそれぞれ解説していきます。
二重敬語の種類
尊敬語の二重敬語
●「お(ご)~なる」+「~れる、られる」のパターン
基本形 | お(ご)~なる | ~れる、られる | 二重敬語 |
---|---|---|---|
読む | お読みになる | 読まれる | お読みになられる |
書く | お書きになる | 書かれる | お書きになられる |
座る | お掛けになる | 掛けられる | お掛けになられる |
食べる | お食べになる | 食べられる | お食べになられる |
考える | お考えになる | 考えられる | お考えになられる |
亡くなる | お亡くなりになる | 亡くなられる | お亡くなりになられる |
休む | お休みになる | 休まれる | お休みになられる |
見る | ご覧になる | 見られる | ご覧になられる |
寝る | ご就寝になる | 寝られる | ご就寝になられる |
「読む」を例にとると
・「お読みになる」「読まれる」は尊敬語として正しい
・「お読みになられる」は「読む」に対し「お~なる」と「~られる」という尊敬表現が重複しているため二重敬語となり誤り
●尊敬語+尊敬表現パターン
基本形 | 尊敬語 | 二重敬語 |
---|---|---|
いる・行く・来る | いらっしゃる | いらっしゃられる |
食べる | 召し上がる | お召し上がりになる 召し上がられる |
・「いらっしゃる」「召し上がる」は既に形が変化した尊敬語
・「いらっしゃられる」「お召し上がりになる」などはそれらに更に尊敬表現を加えているため二重敬語となり誤り
・さらに尊敬表現を加えると「お召し上がりになられる」や「お見えになられる」となり、三重敬語。論外です。
謙譲語の二重敬語
●謙譲語+謙譲表現パターン
基本形 | 謙譲語 | 二重敬語 |
---|---|---|
聞く | 伺う・拝聴する | お伺いする(いたす) ご拝聴する(いたす) |
読む | 拝読する | ご拝読する(いたす) |
見る | 拝見する | ご拝見する(いたす) |
・「伺う」や「拝聴する」などは既に形が変化した謙譲語
・「伺う」に更に「お~する(いたす)」という謙譲表現を加えているため二重敬語となり誤り
謙譲語は尊敬語に比べると表現の種類が少ないため、二重敬語もあまりありません。
丁寧語の二重敬語
丁寧語は「です」「ます」「でございます」の事。
これらは断定の助動詞「だ」を丁寧に表現しています。
ですから一つの語に対し二重に丁寧語を使う事はありません。
仮に「だ」に対して二重に丁寧語を使おうとすると
「でます」
とか
「ますざいます」
などというカオスな言葉になります。
「ございますでしょうか」は丁寧語の二重敬語ではありません。
☞「ございますでしょうか」は二重敬語?
二重敬語はあり?
敬語を使うシーンは限られます。
職場やビジネスシーンがほとんどです。
そもそも、ビジネスマナーとして「知っていて当たり前」の言葉づかいですから、二重敬語はありか、なしかと問われると
二重敬語はなし!
です。
しかし言語進化の過程で「新しく生まれたもの」であるならば、将来的には新しい言葉として認められるかも知れませんね。
敬語を間違えず使うにはこちらを読んでおきましょう。