こんな人にオススメ!
・自己啓発本をいくつか読んだ事がある人 |
先日、テレビで田村さんという方が、アホアホ言っていたので興味がわいて読んでみました。アホを打ち負かす方法や対策かと思いきや、一味違う、おもしろい内容の本でした。
●読みやすさ
各章、見出しごとに内容が小分けされている。
専門用語や横文字も少なく、読みやすい。
●内容
「人は論理ではなく感情で動く」という本質を捉えている。
さらには自分を見つめ、自分と向き合い、目的をハッキリさせ動く大切さを、様々な体験を元に書いている。
ビジネスにおけるコミュニケーションや人付き合いの重要性や、人と敵対せず自身の味方へ誘導する事の重要性を述べている。
「他人の助力を得るには何に力を注ぐべきなのか」をメインに説いてある。
しかし「アホ」は力があり「アホ」に限って出世する、という前提で書かれているため、著者の言うところの「アホ」のように、やったらやった者勝ちという感は否めない。
後半からは著者の体験談と、著者が感銘を受け学んだと思われる言葉や考え方の数々が紹介されている。その学びから著者が何を行い成功したのか、そこは触れられていない。
途中で「日本人は~~」という国民性が頻出するようになる。著者の国際的な経験からの言葉なのだろうが、あいまいな先入観で書いている感があり信憑性にかける。
●おもしろさ
個人的感想としては、おもしろい。
ただ私自身の考えとかけ離れる箇所も多いが、考えが同じ箇所も多い。それゆえの学びやおもしろさが大きい。
著者の立派な経歴からは想像のつかない失敗の数々や、過去の著者自身「あの時は分かっていなかった」「○○さんから学ばされた」などのシーンが多すぎるため、なぜこんな頼りない人物像を演出するのだろうと考えながら読むのは一興あり。
著者はもちろん成功者なのだろうが「著者がすでに様々な成功を収めている」という前提で読むと、違った本に見えてくるだろう。
●論理的
全く論理的ではない。矛盾も多い。
そもそもロジックではなく著者の体験と経験則がメインなので、論理的で説明チックな文章を書く気はなかったのだろう。
●全体の構成
前半は著者の主張がまとまり良く書いてある。
例えば「こういうアホにはこう対処する」「こういう場合はこういう心構え、心の切り替え方をする」など。
タイトルでもインパクトのあった「アホ」というワードは2章の途中でプッツリと、忘れられたように出てこなくなる。全体的なまとまり感は皆無。
さらに4章以降は章の大見出しと文章の内容がちぐはぐな箇所が多い。
ブログに書いた備忘録のような記事をカテゴリー分けし、そのまま載せたような違和感がある。
総評
経験に基づく処世術
「凡人が権力を持つため」に「権力者に可愛がられ協力してもらう」という処世術の主張なのだと思います。
天才や有能すぎる人にはあまり関係ないでしょう。
ビジネスにおいての人間関係やコミュニケーションのメリット
本書のレビューにも多いですが、人によっては「どんなストレスも堪え、耐え、権力者には媚びへつらえ」と書いているだけに感じる方もいらっしゃいます。
自分もアホに習えと書いているだけだ、と。
恐らく政治家や著者周辺のコミュニティの話が非常に多く、その中での立ち回り方についての記述が多すぎて大多数の一般人には受け入れづらいのかも知れません。
ですが、ビジネスにおける人間関係とその影響においての本質は捉えているように感じます。
筆者の脳内はとても論理的
本書の内容は非論理的なのですが、
・アホが邪魔してくる原因を紐解く
・悪口を口からこぼすデメリット
・アホに使うエネルギーは他に向けるべき
・悩む時間とストレスが無駄
・目的のために自分の行動を変える
など、考え方はとても論理的です。
ただ、相手の感情ケアの事は100%やる。ただし自分の感情ケアは自分ひとりで消化したり、考え方を変える事で対処する。
そんな自分の気持ちを削るやり方は、楽して出世したい人やアホは徹底的に否定したい人、感情的な部分を抑えられず論理的になり切れない人には、やはり受け入れられないでしょう。
後半の失速感
読者に寄り添うためか
・自分も昔はこんなに無知だった
・自分も昔はこうやって失敗した
記述が非常に多いんですが、多すぎてこんな人に教わる事なんかあるのかと不安になりました。
特に後半に関しては、政治家時代のああすれば良かった、こうすれば良かったが大半です(笑)
成功体験の記述がない
良いことを書いて、盛り上がってきたと思ったら次の見出しに進んでしまい
「で?それが分かった事で、学んだことでどういうメリットがあったの?どういう成功があったの?」
という部分が書かれていないため、筆者の言う通りにしたところで自分に返ってくる成功のイメージが全くわいて来ません…。
主張に対しての掘り下げが少なく、毎回つまずいた感じで次の見出しへ進むことになりました。
啓発本入門には不適切
考え方の基本や土台がある方が読むにはおもしろい本だと思います。啓発本やビジネス書をあまり読んだことのない方にはスッキリ読めない本かもしれません。